本編完結済み。書籍化あり。
　テンポがよく話がサクサク進む。戦記物にありがちな登場人物の多さだがメインキャラたちはキャラが立っていて好感が持てる。主人公が最強などではなく、努力や機転で難局を打破するところに爽快感がある。大陸を二分する帝国（魔法）と騎士国（物理）の対立という世界観や、「正しさ」を国是とする騎士国の設定は穴もあるけど光ってる。敵役としての帝国は武力ではなく政治的な駆け引きや策謀による戦いを仕掛けてくるあたりは戦記物が好きな人には刺さると思う。
　転生物をあるあるだが、主人公の転生という設定があまり生かされていない。日本との繋がりがあるわけでも、転生前の知識が大活躍するわけでも、転生者たちが問題を起こすわけでもない。たぶん主人公が転生者じゃなくても話の大筋に変化はないと感じられるのが個人的には不満点。世界設定もあって不自然ではないが若干ハーレム要素があるのでそのあたりが苦手な人にはお薦めできないかもしれない。

　本編完結済み。書籍化、コミカライズあり。
　広義での人外転生もの。主人公の所属していた国が滅亡したあとという一見ポストアポカリプス的な世界観が良い味を出している。主人公は恵まれた能力を持ってはいるが良くあるご都合主義的なチート能力ではなく物語の背景を踏まえた必然的なものになっていて話に説得力を持たせる一因になっている。かなりの頻度でお色気要素（おっぱい推し）が差し込まれるのでそういった作風が苦手な人にはお薦めできない。個人的には主人公が健全かつ若い男性であること考えれば頭の中がついついそっち方面でいっぱいになってしまうのは人間味（人外だけに）があって苦笑を誘うのだが。
　完結済みの本作だがストーリー展開（特にラスト）に関しては好みが分かれる作品だと思う。作者もあとがきで複数のプロットを示唆しているので書籍版などでは別展開を読めるのかもしれない。下手に壮大な目的意識や英雄論に走らず、あくまでも主人公の立場と背景を踏まえた落としどころで書ききっているところは真夜中的にポイントが高い。